10 名護の大兼久 馬はらちいしやうしや 船はらちいしやうしや 我浦泊
読み
ナグヌウフガニク ンマハラチイショシャ フニハラチイショシャ ワウラドゥマイ
作者
読人知らず
大意
名護の大兼久の馬場は馬を走らせて実に快適なところであり、また、船遊びをしてそう快な所がわが名護の浦泊である。
鑑賞
@乗馬によし、船遊びによしと自分の村をほめたたえた、いわゆる土地ぼめの歌である。                                       A故里をなんのてらいもなく素直に歌ったこの歌には、その昔の心やさしい名護人の心意気がにじみ出ているようだ。「馬はらちいしょしや」の「いしょしや」はうれしい、たのしい、うきうきするという意味である。<中略>大兼久馬場は、歌碑の建つ所から東のひんぷんガジマルにむかって幅八間(約14メートル)長さ百二十間(約216メートル)にわたっていたという。そして馬場の前に広がる名護湾では、時折やってくるヒートゥ(イルカ)の大群を追い詰める勇壮なイルカ狩りの光景も見られた(名護湾にイルカが来る来ないによって、その時々の村<町>長の人徳が評価されたという)。風光明媚で人々もなごやかに暮らしていた名護も、時代の変遷と共に、その姿が変容し歌に詠まれた「馬場」も「わ浦泊」も姿を消してしまったが、その面影は石に刻まれて人々の心の中に残されている。
節名
大兼久節
歌の分類・内容
土地ぼめの歌
琉歌碑
有り
ビデオ
53番の歌参照
引用及び
参考文献
@高校生のための古典副読本「沖縄の文学」沖縄県高等学校障害児学校教職員組合編・A「沖縄文学碑めぐり」垣花武信・東江八十郎著那覇出版社

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