2 波の声もとまれ 風の声もとまれ 首里天がなし みおんき拝ま
読み
ナミヌクイントゥマリ カジヌクイントゥマリ シュイティンガナシ ミウンチヲゥガマ
作者
恩納なべ
大意
波のとどろきも止まれ、風の音も静まれ、みなもろともに、わが首里王君のお顔を仰ぎ見ましょう。
鑑賞
@この歌は、国王が国頭巡視に際して、万座毛に立ち寄ったときになべが即興的に詠んだ歌だと伝えられている。万座毛の雄大な自然を背景にしてこの歌を見ると実に豪放で荘重な趣がある。万座毛の岩壁に砕ける波のとどろきと松林にさわぐ風、この大自然に向かって「すべて鳴りをひそめよ」と豪快に命じ、「わが国王様を仰ぎ見ましょう」とつつしみ深く結んだ句法はすばらしい。                                           A大自然にむかって「波の声、風の声も止まれ」と率直に訴える歌の雄大な構想が、恩納ナベの歌が「万葉調」といわれるところである。もう一人の女流歌人・吉屋チルの歌が「思いやりや情念」を心の内側に閉じ込める作風とは対照的である。恩納ナベの生没については不明であるが、口承によると尚敬王時代に活躍した人であるといわれ、数多くのすぐれた琉歌を今日に伝えている。(中略)「波の声も止まれ 風の声も止まれ」の上句の表現方法は、玉城朝薫作の組踊「孝行の巻」にも出てくるが、琉歌集の中には、このような「波・風も止まれ」の表現方法が数多くみうけられるが、首里国王の安定や繁栄、国土の天下太平の御世を謳歌する意の慣用句として用いられている。
節名
辺野喜節 
歌の分類・内容
祝いの歌
琉歌碑
有り 
ビデオ
有り
引用及び
参考文献
@高校生のための古典副読本「沖縄の文学」沖縄県高等学校障害児学校教職員組合/A−歌碑のみるー「歌・三線のふる里をたずねて」沖縄市立郷土博物館

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