59 与那の高ひらや 汗はてど登る 無蔵に思なせば 車たうばる
読み
ユナヌタカヒラヤ アシハティドゥヌブユ ンゾゥニウムナシバ クルマトゥバル
作者
読人知らず
大意
与那の急坂は、汗を流して登るとても難儀な山道であるが、愛しい人を思いながら行くと、車たうばる(牛が引く砂糖車が回る平坦な地)である。
鑑賞
A人間は気持ちの持ちようが大切である。心楽しければどんな難儀も難儀と感じないという子であろうか。ただこの歌は、下の句に「無蔵に思みなせば車とう原」や「無蔵と二人なれば車とう原」「無蔵つれて登る車とう原」「無蔵と二人なりば一足なから」など、さまざまな歌い方がある。B与那の高坂は,与那部落と隣の伊地部落との間にあり,海に突き出た小山で隔てられ,交通の難所であったという。隣の伊地部落へ行くには険しい急な坂道「与那の高坂」を越えなければならなかった。海岸線沿いに県道が開通したのが昭和8年で,やっと「高ひら」越えから人々は開放された。昭和48年には与那トンネルも開通し,「与那の高坂」もすっかり忘れられてしまい,いまでは古典音楽の「与那節」で往時を偲ぶのみである。地元では,ウシデーク歌の中で歌い継がれている。
節名
与那節
歌の分類・内容
恋の歌
琉歌碑
有り 
ビデオ
有り
引用及び
参考文献
@高校生のための古典副読本「沖縄の文学」沖縄県高等学校障害児学校教職員組合編・A「沖縄文学碑めぐり」垣花武信・東江八十郎著那覇出版社B「歌・三線のふる里をたずねて」沖縄市立郷土博物館

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