70 うざの楽しみや 歌と三味線と 楽しみにまかち 長座するな
読み
作者
赤犬子
大意
うざ(御座、お座敷、宴会)之楽しみは歌と三味線である。だが、楽しいからといって長居してはならない。
鑑賞
昔、ある年、楚辺では大変な水不足に苦しんでいた。そのとき屋嘉のチラー(美人)という村一番の美女が飼っていた犬がいつもずぶぬれになってどこからか帰ってくるので不思議に思った村人が犬の後をつけて行くと、暗い岩の割れ目に入っていき、そこで水浴びをして出てくるのを確めた。これが楚辺の暗井戸(クラガー)で、現在は、米軍の管理する黙認耕作地の中にあり、今でも干ばつにも枯れることなく豊かな水をたたえて農業用水として利用されている。この犬の飼い主チラーの子がアカインコで、幼い頃から聡明な子で、青年期にはいよいよ持ち前の美声と音楽の才能を発揮し、雨だれのトンテントンという音を聞いて三味線を考案し、くばの葉の茎で棹を、幹でたいこを作り、馬のしっぽを弦にして三味線を作ったという。アカインコの才能は、首里王城にも認められ、尚真王のもとに仕え、王の命を受けて中国にも勉強に行く。帰沖後は、沖縄中を巡って三味線音楽をひろめる努力をし、その美声と人柄は各地で歓迎されたという。また楚辺には中国から持ち帰った麦や粟、野菜の種をまいて、村は毎年、豊年満作で農家は豊かになったという。以来読谷村では、五穀の神としてあがめ、毎年旧暦9月20日には、「アカインコ祭り」を盛大に開催している。
節名
赤犬子の琉歌碑
歌の分類・内容
遊びの歌
琉歌碑
有り
ビデオ
有り(RBC)
引用及び
参考文献
「沖縄文学碑めぐり」垣花武信・東江八十郎著 那覇出版社

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