79 今帰仁の城 しもな里の九年母 志慶真乙樽が ぬきやいはきやい
読み
ナチジンヌグスィク シムナイヌクニブ シキマウトゥダルガ ヌキヤイハキヤイ
作者
読人知らず
大意
今帰仁のお城に時期はずれの王子(霜成りの九年母)ができて、この王子を王様の側女である志慶真乙樽が、大事に可愛がっているよ。
鑑賞
14世紀、沖縄が三山に分立して相争っていた頃、今帰仁城(北山城ともいう)の近くの志慶真村に「乙樽」という気立てのやさしい絶世の美女がいて、「今帰仁御神」といってもてはやされていた。その噂は城主の耳にも入り、第二夫人としてお城に迎えることになる。当時、身分の低い百姓にとってお城からお召しがあるということは、願ってもない出世(栄誉)であり、村の人々の羨望の的であった。乙樽もこれを誇りに思い、喜んで城中の人となり、なに不自由なく暮らしていた。ところで城主は60歳の高齢になるというのに未だ世継ぎができず、従臣たちが気に病んでいた。こうしたある日、城主は大病をわずらい病床に伏すが、幸いなことに王妃が懐妊をしたということで城中が喜びに湧く。ところが城主は看病の甲斐もなく、まもなく世を去り城内は火の消えたようなわびしさとなったが、とうとう待ちに待った王子の出産となり、城内は再び明るさがよみがえった。「まさか生まれまいと思っていた世継ぎがお生まれになった。それを乙樽が蝶よ花よと可愛がっている」というのであるが,それを時期はずれの九年母になぞらえてコミカルに歌ったものである。
節名
今帰仁の城節
歌の分類・内容
祝歌
琉歌碑
有り
ビデオ
無し
引用及び
参考文献
「沖縄文学碑めぐり」垣花武信・東江八十郎著 那覇出版社

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