86 赤馬よ いら すざ 足四ちゃぬどきにやく 生りるかい 赤馬 すでるかい足四ちゃ 沖縄主に 望まれ 主ぬ前に見のふされ いらさにしゃ 今日ぬ日 (ヒアールダヒ) とぎさにしゃ くがに日 ばんすでる 今日だら (ヒアールダヒ) ばにむいる たきだら
読み
作者
読人知らず
大意
赤馬のうらやましいことよ 足四ちゃ(赤馬のこと)のかぶんなことよ 生れがいのある赤馬よ 育てがいのある足ちゃよ 国王に望まれて 王様の前に召されて ああ嬉しいことだ 今日という日は あまりにも喜ばしい 黄金の日よ 今日はあたかも生まれかわったような 喜ばしい心持ちだ 羽が生えて大空に飛び立つような嬉しさだ
鑑賞
今から300年ほど前、名君といわれた尚貞王の時代、八重山在番の役人・大城師番が公用の帰り、名蔵湾にさしかかった時、海から1頭の赤毛の馬が上がってきて、まるで主人にしたがうように師番の後についてきたという。不思議に思った師番がその馬にとび乗って一鞭あてたところ、すばらしい足どりで宙を跳ぶように走る。しかも、掌に持った受け茶碗の水を一滴もこぼすことなく駆けるのである。名馬の誉れ高いこの赤馬の評判は、遠く首里王府にまで聞こえ、献上を命じられることになった。師番は悲しみをこらえて村の西にある小高い岡(馬見岡)から愛馬を見送った。しかし、首里に着いた赤馬は、王様をはじめ人を全く寄せつけない暴れ馬にかわってしまった。駿馬とは真っ赤なうそと激怒した王様は師番を呼びつけた。ところが、かけつけた師番の姿を見るや赤馬は、待ちかねたように前脚を折って迎え、足取りも軽く城内をひと回りしたのである。そうして赤馬は師番の元に返されることになった。戻ってきた赤馬の手綱を手にした師番の心は、はち切れんばかりの喜びに溢れ、その気持ちは自ら詩となり調べとなって「赤馬節」が生まれたというのである。
節名
赤馬節
歌の分類・内容
八重山の歌
琉歌碑
有り
ビデオ
無し
引用及び
参考文献
「沖縄文学碑めぐり」垣花武信・東江八十郎著 那覇出版社

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