90 野山越る道や 幾里隔みても 闇にただひとり 忍で行ちゅん
読み
ヌヤマクィルミチヤ イクリフィジャミティン ヤミニタダフィチュイ シヌディイチュン
作者
読人知らず
大意
野や山を越える道が幾里隔てていようとも、闇にただひとり恋人のところに忍んでいく。
鑑賞
「恥うすい坂」伝説。恥うすい坂は、東村の有銘と源河がの中間に位置している。源河から有銘に抜ける道は、今でこそ素晴らしい道(県道14号線)となっているが、昔は人がやっと通れるくらいの山道であった。その恥うすい坂で有銘の娘と源河の男が密会していた。若い二人はいつも時間を決めてあっていたが、ある日、その待ち合わせの場所に男がこなかった。有銘の娘は坂を下りて源河の部落に行ってみた。すると源河の部落では、ある家の新築祝いがあって、男はその席にいた。祝いの酒が入った男は、祝いが終った後もヤガマヤーに行き、そこで若い娘達とふざけ合っていた。その様子を見た有銘の娘は悲しみ、二人が会うはずだった恥うすい坂にもどって自殺した。約束の時間に遅れた男は、急いで娘の待っている恥うすい坂に行ったが、すでに娘は息耐えていた。男は悲しみ、その場で娘の後を追って自ら命を絶った。山稼ぎをしていた人が裸で死んでいる二人を見つけ、葬ってやった。その後、恥うすい坂のその場所を通る時には、恥を掩うという意味で木の枝や葉をそこに置いて通るようになった。もし、そうしなければ山で迷ったりしたという。
節名
干瀬節(はじうすいの歌碑)
歌の分類・内容
恋の歌
琉歌碑
有り
ビデオ
有り
引用及び
参考文献
「名護碑文記」 名護市史叢書・4 名護市教育委員会

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