96 汀間と安部境の河下の浜うりて 汀間の丸目カナと請人神谷と恋の話し (はやし)サーアーフンヌカヤーヒャー マクトカーヤー 神谷が言葉やぬんで言たが明てぬ四、五、六月 呼ばしがちゅんどちとみて待ちょれ (はやし)サーアーテカチャンヤーヒャー 丸目カナー 月のある間る思いんすんどさたんすんど 月の入り下りば思いんさんどさたんさんど (はやし)サーアーユティーカンクー ワウデマクラ
読み
ティマァトゥアブサケェヌ カヌシチャヌハマウリティ ティマヌマルミカナァトゥ ウキニンカミヤトゥクゥイヌハナシ・・・・・・
作者
読人知らず
大意
@汀間村と安部村との境の「兼下の浜」で,汀間村の目もとが愛らしい娘の加那と首里から来た士族の神谷との恋物語・・・・・・
鑑賞
@雑踊りとして振り付けされているこの踊りは,汀間村の美人「加那」と首里から来た侍の「神谷厚詮」との恋物語を村の青年たちが,島の男には目もくれず,町方の役人に憧れる村娘に対して嫉妬したり,中傷したりする内容の歌となっている。A昔,山原は久志間切字汀間の里に丸目カナと呼ばれている目がパッチリした美しい娘がいた。カナは村で有名な豪農の家に小間使いをしていた。或る年,首里から神谷という役人が仕事で汀間村にやってきた。カナは神谷の身の回りの世話を言いつけられ,彼の元に通うようになった。毎日,顔を合わす二人の間に,いつしか恋が芽生えるようになり,その恋は次第に熱くなっていった。神谷とカナは,村人に二人の仲を知られてしまうのをおそれて,汀間村と安部村の境にあるカヌシタの浜で密会を重ねるようになった。用心に用心を重ねた二人の密会であったが,いつしか村人の知るところとなった。カナに恋心をいだいていた村の青年達はあの手この手で二人の仲を裂こうと試みるがなかなかうまくいかない。相手が役人ゆえ力ずくではとても勝ち目がない。ここで青年達が考え出したのは神谷とかなの恋路を歌にして,はやしたてることであった。これにはさすがの役人神谷も,いたたまれずカナに来年の五月,六月には必ず迎えに来るからという言葉をのこして首里に帰っていった。一人残されたカナは神谷の言葉を信じて迎えに来る日を待ちわびるのであるが,年が明け約束の月になっても神谷は迎えに現れず,カナは一人泣き暮すばかりであった。それを見た村人は神谷の薄情さと,よその男にうつつを抜かしたカナの軽薄さを嘲笑した。
節名
汀間当節
歌の分類・内容
恋の歌・名所の歌
琉歌碑
有り
ビデオ
無し
引用及び
参考文献
@「歌・三線のふる里をたずねて」沖縄市立郷土博物館A「名護碑文記」 名護市史叢書・4 名護市教育委員会

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